オープニング

この話は、霊感の強い友達の話。
その友達は中学生の時からの付き合いで、30手前になった今でもけっこう頻繁に遊んだり、飲みに行くような間柄。
そいつん家は、俺らの住んでるところでも、けっこう大きめの神社の神主さんの仕事を代々やってて、普段は普通の仕事してるんだけど、正月とか神事がある時とか、結婚式とかあると、あの神主スタイルで拝むっていうのかな?
そういった副業(本業かも)をやってるようなお家。
普段は神社の近くにある住居に住んでいます。

阿部の家

その日も飲みに行こうかってことで、とりあえず俺の家に集合することになったんです。
先に三島と、三島の彼女加藤が到着して、ゲームしながらもう一人の女の子作野ちゃんを待ってたんです。
しばらくゲームしながら待ってたら、作野ちゃんから電話がかかってきたんです。

作野作野

ごめんちょっと遅れるね
面白いものが納屋から見つかって、家族で夢中になってた~
阿部ってさ、クイズとかパズル得意だったよね?
面白いものもって行くね!
もうちょっと待ってて~~~

で、40分くらいしたころかな、作野ちゃんがやってきたんです。
その瞬間・・・

三島三島

やべぇ。
これやべぇ。
どうしよ・・・
父ちゃん今日留守だよ


阿部阿部

ん?
三島どうしたが?
また出たんか?


加藤加藤

大丈夫!?
またなん?


三島三島

出たってレベルのもんじゃねぇかも・・・
はは・・・
阿部やべぇよこれ
作野ちゃん・・・
まじかよ・・・

三島は普段、霊感あるとかオバケみるとか神社の仕事とか、あまり話題には出さないんですが、たまにこうやって怯えてるんですよ。
俺も作野も加藤も、そのことは知ってるんですが、三島が突っ込んだ話されるのを嫌がるので、普段はあまり話題にしません。

作野ちゃんが俺の部屋まで上がってきました。
三島は顔面蒼白ってかんじで、

三島三島

作野ちゃんよ・・・
何持ってきたん?
出してみ・・・


作野作野

え?え?
もしかして私やばいの持ってきちゃった・・・のか・・・な?


三島三島

うん・・・


作野作野

これ・・・
来週家の納屋を解体するんで、掃除してたら出てきたん

そういって作野ちゃんは、木箱を出したんです。
20cm四方ほどの木箱でした。
電話でパズルって言ってたのはこのことだろう。
小さなテトリスのブロックみたいな木が組み合わさって、箱になってたと思う。

三島三島

それ以上触んなや!
触んなや!!

その瞬間、三島はトイレに猛ダッシュ。

三島三島

おぅえぇええ。
ぅぇえぇうぇええええ

加藤がトイレに行って、三島の背中をさすってやってるようでした。
(良い彼女だ・・w)

一通り吐き終えた三島が戻ってきました。
三島が携帯を取り出し電話をかけました。

三島三島

とうちゃん・・・
コトリバコ・・・
コトリバコ友達が持ってきた。
俺怖い。
じいちゃと違って俺じゃ
じいちゃみたくできんわ・・・

三島泣いてました。
とうちゃんに電話かけて泣いてる29歳・・・
それほど恐ろしいことなんでしょう。
俺も泣きそうでした。

三島三島

うん付いちょらん
箱だけしか見えん。
跡はあるけど、のこっちょらんかもしらん。
うん
少しはいっちょる、友達のお腹のとこ。


三島三島

シッポウの形だと思う・・・
シッポウだろ?
中に三角ある。
シッポウ。
間違いないと思う
だって分からんが!
俺は違うけん!

なにやら専門用語色々でてたけど、繰り返していってたのはコトリバコ、シッポウ。
もっと色々言ってたけど忘れました。ごめん。

三島三島

分かったやる。
やる。
ミスったら祓ってや
とおちゃん頼むけんね

三島ここで電話を切りました。
最後に三島は2分ほど思いっきり大泣きして、しゃくりあげながらよしと正座になり、自分の膝のあたりをパシっと叩きました。
もう泣いてませんでした。
なにか決意したようで。

三島三島

阿部・・・
カッターか包丁貸してごせや


阿部阿部

お、おい
何するん!?


三島三島

誰か殺そうっちゅうじゃない
作野ちゃん祓わないけん。
作野ちゃん、俺みて怯えるなっちゅうのが無理な話かもしらんが、怯えるな!
加藤も阿部も怯えるな!
とにかく怯えるな!怯えるな!!
負けるか!負けるかよ!!
俺が居る!怯えるな!怯えるな!
なめんな!俺だってやってやら!
じいちゃんやってやら!
見てろよ糞!糞ぉおおおおお!

作野ちゃん半泣きです・・・怯えきってました。
俺も加藤も泣きそうです。
ほんとにちびりそうだった・・・

作野作野

分かった
分かった
がんばっでみる

俺も作野も加藤もなにやら分からないけど、分かった分かったって言ってました。

三島三島

阿部包丁かカッター持ってきてごせや


阿部阿部

お、おぅ・・

包丁を三島に手渡しました。

三島三島

阿部俺の内腿、思いっきしツネってごせや!
おもいっきし!

もう、わけ分からないけど、三島の言うとおりにやるしかありません。

三島三島

がぁあああああがあぐいうううあああ・・・・・”!!!

三島の内腿をツネり上げる俺。
俺に腿をつねり上げられながら、三島は自分の指先と手のひらを包丁で切りつけました。
たぶん、その痛みを消すためにツネらせたのかな?

三島三島

作野ちゃん口開けぇ!

三島は作野ちゃんの口の中に、自分の血だらけの指を突っ込みました。

三島三島

作野ちゃん飲みぃ
まずくても飲みぃ


作野作野

あぐ;kl:;っぉあr

作野ちゃん大泣きです。言葉出てなかったです。

三島三島

◎△*??Й・・・ シンメイイワト アケマシタ、カシコミカシコミモマモウス

なにやら祝詞か呪文か分かりませんが、5回~6回ほど繰り返しました。
呪文というより、浪曲みたいな感じでした。
そして三島が作野ちゃんの口から指を抜くとすぐ、作野ちゃんが三島の血の混じったゲロを吐きました。

作野作野

うぇええええええええええおええわええええええええ


三島三島

出た!出た!
おし!!大丈夫!
作野ちゃんは大丈夫!
次・・・!
じいちゃんみててごせや!

三島は血まみれの手を、作野ちゃんの持ってきた木箱の上にかぶせました。

三島三島

コトリバココトリバコ ◎△*??Й・・・
いけん・・いけん・・
やっちょけばよかった

三島がまた泣きそうな顔になりました。

三島三島

阿部!
とおちゃんに電話してごせや

言われたとおりに、三島の携帯で三島のとおちゃんに電話をし、三島の耳元にあてました。

三島三島

とおちゃん
ごめん忘れた
一緒によんでくれ

三島は携帯を耳にあて、右手を小箱添えて、また呪文みたいなものを唱えてました。
やっぱり唄ってるみたいな感じでした。

三島三島

終わった。
終わった・・・・
おわ・・・ったぁ・・
うぅえぇえええ

三島はまた号泣してました。大の大人が泣き崩れたんですよ。
加藤によしよしされながら、20分くらい大泣きしてました。
俺と作野と加藤も号泣で、4人でわんわん泣いてました。
その間も、三島は小箱から決して手を離さなかったような気がします。

すこし落ち着いてから

三島三島

手と箱を一緒に縛れる位のタオルかなにかないか?

薄手のバスタオルで、三島の手と木箱を縛り付けました。

三島三島

さて
ドコに飲みに行く?


阿部阿部

は?


三島三島

って冗談じゃw
今日はさすがに無理だけん、阿部送ってくれよ


阿部阿部

(こいつどういう神経してるんだろ・・・ほんと強い奴だなぁ)

その日は、作野も三島も加藤もなんだかへとへとで、俺が送っていくことになりました。

で、それから8日ほど、三島は仕事を休んだようです。
そして昨日三島と会い、そのときのことを聞いてみたんですが。

三島三島

あ~っとなぁ。
作野ちゃんところは言い方悪いかもしらんが、◎山にある部落でな。
ああいうところには、ああいったものがあるもんなんよ。
あれはとおちゃんが帰ってきてから安置しといた。
まぁ、あんまり知らんほうがええよ

なにやら言いたくない様子でした。
それ以上は、いくら聞こうとしても教えてくれない_| ̄|○
ただ最後に、

三島三島

あの中に入っちょるのはな
怨念そのものってやつなんよ。
まぁ入ってる物は、けっこうな数の人差し指の先と、へその緒だけどな・・・
差別は絶対いけんってことだ
人の恨みってのはこわいで、あんなもの作りよるからなぁ。

三島三島

アレが出てきたらな
俺のじいちゃんが処理してたんだ。
じいちゃんの代であらかた片付けた思ってたんだけど、まさか俺がやることになるなんてなぁ。
俺はふらふらしてて、あんまり家のことやっちょらんけぇ、まじビビリだったよw
ちょっと俺も勉強するわ。
まぁ才能ないらしいがw


三島三島

それとな、部落云々とか話したけど、差別とかお前すんなや・・
作野ちゃんとも今までどおりな。
そんな時代じゃないしな~
あほくせぇろ


阿部阿部

あたりめぇじゃんw。
それよりさ、この楽しい話誰かに話してもええの?


三島三島

お前好きだなぁ
幽霊すら見えんくせにw


阿部阿部

見えんからこそ好きなんよ


三島三島

ええよ別に。
話したからって、取り付くわけじゃないし。
どうせ誰も信じねぇよ。
うそつき呼ばわりされるだけだぞ。
俺はとぼけるしw

その後、電話にて

その後、電話で、昨日三島に聞きそびれた事を質問した。

阿部阿部

あの場にいた作野以外の人間、つまり俺と加藤は大丈夫なのか。
俺の家に来る前に、件の小箱で遊んでたという家族は大丈夫なのか。


三島三島

アレは子供と子供を生める女にしか影響なし。
作野の父と弟は問題外。
母は・・・閉経してるんじゃないか?
作野のばあちゃんもな。
もちろん阿部も大丈夫。
加藤については危ないかなと思ったけど、触れた時間が短かったため問題なしだろう。
いざとなったら、とおちゃんがいるし大丈夫。


阿部阿部

頼むよ!
まじアレなんだったの!?
気になって毎夜6時間しか寝られないよ!


三島三島

実は俺も詳細は知らない。
ただコトリバコは、『子取り箱』と書く。

*本当かどうかは不明です。
俺を何とか反らそうと、ウソついたのかもしれないですが・・・
昨日の会話の口ぶりからして、知らないはずが無いと思ってます。
ただ、そこまでして隠すほどのことだってことでしょうか。
なおさら怖いけど気になります。

次、作野ちゃんとの会話ですが要約すると、あの後、業者が納屋を解体しにきたのですが、そのときお隣のおじいさんと一騒動あったそうで、
そのときの内容を、明日3人に話しておきたいと。(三島、俺、加藤)
で、作野曰く、自分も恐怖より好奇心が勝ってるということ。
当事者として何があったのか、アレはほんとに何だったのかをせめて知りたい、ということでした。
(さすがだぜ作野ちゃん!)
で、今三島に話したらOKということで・・・
ちょっと考え込んでましたが。
明日三島、作野、加藤、俺で4者会談開催してきます。加藤は来るか分からないけど。

作野の家

6日夜の時点では当事者4人、俺の家で作野の話を聞くという予定だったのですが、
作野が作野の家族、そして納屋の解体の時に一騒動あったという、隣家のおじいさんも交えて話がしたいとのことで、作野の家に行くことになりました。

三島、作野、加藤、阿部(俺)。
それと、作野の父は作野父、母を作野母、作野の祖母を作野婆さん、作野のおじいさんを作野爺さん、隣のおじいさんを上代としましょうか。
それと、方言で書くのはなるべくやめます。上代と作野婆の話、ほとんど異国語なのでw

作野の話

まず、作野が事件の後、納屋の解体業者が来た時の話を。

俺の家での出来事の2日後になります。
5月23日、頼んでいた業者がきて、解体用の機械を敷地に入れ作業に入ろうかというとき、作野父に隣家の上代が話しかけてきたそうです。
作野父がおじいさんに納屋を解体することを伝えると、上代は抗議してきたそうです。
作野父ともめてたそうで、その声を聞いた作野が、もしかしたらあの箱のことを知っているのかもと思い、
上代に聞いてみようと外にでたそうです。
この時点で作野は、家族にあの日のことは話してなかったそうです。

上代上代

納屋を壊すな!


作野作野

反対する理由はあの箱のことですか?
あの箱はいったい何なのですか?

上代は非常に非常に驚いた顔をし、

上代上代

箱を見つけたのかあの箱はどうした?
お前は大丈夫か?

作野が事件の経緯を話すと

上代上代

自分の責任だ。
申し訳ない

そして、

上代上代

聞いておかんかったからこんなことになった
話しておかんかったからこんなことになった
近いうちにお宅の家族に話さないけんことがある

と言い、帰って行った
そして作野は、ポカンとしてる作野父に、事件のことを話したそうです。
そして上代の話を聞いてから、俺らに話そうと思ってたのですが、上代が話しに来る素振りを見せずイライラしてたところに、昨夜俺から電話があったと言うわけです。
そして、昨日俺の電話を受け、三島も来るなら今日しかないと思い、その『話さないといけないこと』を今日話して欲しいということで、上代を父と一緒に説得して、来ていただいたそうです。

三島の話

作野父が上代にお話いただけますか?と言うと、
俺と加藤が居ることで、話していいものか悩んでいた。
(部外者ですもんね)
と、このあたりで、

三島三島

先に話させてもらっていいですか?

そういって三島が話し始めました。

三島三島

上代さん・・・
本来、あの箱は今あなたの家にあるはずでは?
今の時代、呪いと言っても大概はホラ話と思われるかもしれないが、この箱については別。
俺は祖父、父から何度も聞かされてたし、実際、祖父と父があれを処理するのを何度か見てきた。
箱の話をするときの二人は真剣そのものだった。
管理簿もちゃんとある。
それに事故とはいえ、箱でここの人が死んだこともありましたよね。
今回俺が箱に関わったってことと、父が少し不審に思うことがあるということで、改めて昨夜、父と管理簿を見たんです。
そうしたら、今のシッポウの場所は上代さんの家になってた。
そうなると話がおかしい。
父は『やっぱり』と言ってました。
俺の家の方からは接触しないという約束ですが、今回ばかりは話が別だろうと思って来ました。
俺の父が行くといったのですが、今回祓ったのは俺なので俺が今日来ました

上代さん、そしてその他一同は黙って聞いてました。
三島と上代にしか分からない内容なので。

三島三島

それでですね、上代さん。
あなたの家に箱があったのなら、作野のお父さんが箱のことを知らないのは仕方がないし、なんとか納得はできます。
作野のおじいさんは田中さんから引き継いで、すぐに亡くなられてますよね。
三島管理簿では、田中家⇒作野家⇒上代家の移動が1年以内になってました。
作野のおじいさんが、お父さんに伝える時間が無かったのだろうと理解はできるんです。
それに約束の年数からいって、作野のお父さんに役回りが来ることはもう考えにくい。
あなたか田中家で最後になる可能性が高いですし。

三島三島

でも、今回箱が出てきたのは作野の家だった。
これはおかしいですよね。
俺、家のことはあまりやってなかったので、管理簿をまじまじと見たことなんてなかったんですが、昨夜父と管理簿をみて正直驚きましたよ。
作野の話をさっき聞くまでは、もしかしたら何か手違いがあって、あなたも箱のことを知らなかったのかもしれないと考えてたのですが、あなたは知っていますよね?
知っていたのに引き継いでいない。
そして、作野の家にあるのを知ってて黙っていた。

三島三島

俺、今回のこと、無事に祓えたんで、あとは詮索されてもとぼければ済むかなって思ってたんですよ。
何かの手違いで、作野の家の人みんなが知らなかっただけで、結果オーライというか・・・
正直焦りまくったし、ビビリまくったけど・・・
今日だって、昨日父と管理簿見てなかったら、ここには来てなかったと思います。
本来の約束なら、俺の家からこっちに来ることは禁止ですからね。
だから、今日俺が来たってことは伏せておいて欲しい。
でも、そういうわけには行かなくなったみたいです

三島三島

俺は怒ってますよ。
俺の父もね。
ただ、顔も知らない先祖の約束を守り続けないといけないって言うのは、相当酷な話だというのも分かります。
逃げ出したいって気持ちも。
俺だってそうでしたから。
俺だってあの日、箱を見ただけで逃げ出したかった。
わずかな時間のことだったのに、本気で逃げようかと思った。
アレを下手すれば十数年、下手すれば何十年保管するなんてどれだけ怖いのか。

三島三島

でも、もしこういったことがここ全体で起きてるのだとしたら、残りの箱の処理に関しても問題が起きます。
作野はたまたま、本当にたまたま箱に近づかなかったっていうだけで、
たまたま、本当に偶然あの日、俺と会うことになってたってだけで・・・
もしかしたら作野は死んでたかもしれない。
そしてもしかしたら、他の箱で被害がでているかもしれない。
だから、なぜこういうことになってたのか、話していただけませんか?

三島三島

それと、こいつ(加藤のこと)はその場に居た女です。
もちろん子供を生める体です。
部外者ではないです。
被害者です。
それとこいつは(俺のことです)部外者かもしれませんが、そうでもないかもしれません。
こいつの名前は阿部です。
ここらじゃそうそうある苗字じゃないですよね?

俺はなんのことやら分からなかった

上代上代

あぁ・・・
そうかぁ・・・

上代さんの話

上代上代

まず、箱のことを説明したほうがいいですかな。
チッポウは、作野の家、上代家、そして斜め向いにあった田中家の3家で、管理してきたものです。
3家に割り当てられて箱です。
そして、あの箱は3家持ち回りで保管し、家主の死後、次の役回りの家の家主が葬儀後、前任者の跡取りから受け取り、受取った家主がまた死ぬまで保管し、また次へ、次へと繰り返す。
受取った家主は、跡取りに箱のことを伝える。跡取りが居ない場合は、跡取りが出来た後伝える。
どうしても跡取りに恵まれなかった場合、次の持ち回りの家に渡す。他の班でも同じです。
3家だったり4世帯だったりしますが。


上代上代

そして、他の班が持っている箱については、お互い話題にしないこと。
回す理由は、箱の中身を薄めるためです。
箱を受取った家主は、決して箱に女子供を近づけてはいけない。
そして、箱を管理していない家は、管理している家を監視する。
また、三島の家から札をもらい、箱に張ってある古い札と貼り替える。
約束の年数を保管し、箱の中身が薄まった後、三島の家に届け処理してもらう。
三島神社(仮にそう呼びますね)と昔にそういう約束をしたらしい


三島三島

それで、俺の家は昔の約束どおり、持ち込まれた箱を処理・・・供養してたんだ。
ここにある全ての箱と、箱の現在の保管者の管理簿つけて


上代上代

そうです。本来なら私が、作野爺が亡くなったときに、箱を引き継ぐはずでした。
でも、本当に怖かったんです、申し訳ない許して欲しい。
田中の父親が死に(作野の家の前任者です)、引き継いだ作野爺も立て続けに死に、男には影響ないと分かっていても怖かった。
そんな状態で、いつ作野父が箱を持ってくるのか怯えてたんです。


上代上代

でも、葬儀後、日が経っても作野父がこない。
それで、田中さん(作野家の前任者の跡取り)と相談したんです。
『もしかしたら、作野父は何も知らないのかもしれない』『箱から逃げられるかもしれない』と。
そしてまず、作野父に箱のことをそれとなく聞き、何も知らされていないことを確認しました。
そして納屋の監視は続け、作野家に箱を置いたままにしておくこと、
田中さんは札の貼り替えをした後、しばらくして引っ越すこと。
そうすれば、他班からは『あそこは終わったんだな』と思ってもらえるかもしれないから。
引き継ぐはずだった私が、作野家の監視を続けること。
そして、約束の年が来たら、上代が納屋から持ち出し三島神社に届けること。


上代上代

 そして・・・本当に、本当に申し訳ない。
それまでに、箱に作野や作野の母が近づいて死んでしまったとしても、
『箱のことは作野の家は知らない。
他班の箱のことは触れることは禁止だから、ばれることは無いだろう』
と、田中さんと相談したんです。
本当に申し訳ない。
だから、他班の箱のことは分からない。
こんなことは無いと思う、申し訳ない

上代さんは土下座して、何度も謝ってました。
作野父さんは死んだ作野爺さんに、納屋には近づくなとは言われていたそうです。
また、実際気味の悪い納屋で、あえて近づこうとは思ってなかったようです。
作野も同様に。
それで今回、どうせなら取り壊そうという話になり、中の整理をしていて、
そのときに作野が箱を見つけてしまった・・・という経緯でした。
作野父さん、作野母さん、作野婆さん、信じられないという感じでしたが、
ただ作野婆さんだけが、なにやら納得したような感じで、

作野婆さん作野婆さん

納屋はだから近づかせてもらえなかったのか

三島三島

なるほど、そういうことでしたか・・・
引継ぎはしなかったとはいえ、監視しなければならず、結局は箱から逃げることは出来なかったんですね。
結局苦しんだと。
決まりの年までたしかあと19年でしたよね?
・・・引き継いでいたとしても、結局は俺が祓うことになってたのかなw
作野父さん、作野母さん、作野婆さん、作野・・・
現実味の無い話で、まだ何が何だか分からないと思う。
でもこれは現実で、このご時世にアホみたいに思うかもしらんが、現実で。
でも、上代さんを怒らないであげてほしい。
あの箱が何か知ってるもんにとっちゃ、それほど逃げたいもんだけん。
まぁ、もう箱はないんだけん安心だが?
面白い話が聞けて楽しかったと思って、上代さんを許してやって欲しい。

上代さんうつむいて、うなだれて、見ててなんだか痛々しかったです。

三島三島

それと、たぶんみんな、あの箱の中身が何かを知りたいだと思う。
ここまで話したら、もう最後まで聞いてほしい。
俺も全部は知らんけど、知ってることを話す。
ここはもう箱終わったけん、問題ないと思うし。
正直、残りの箱はあと二つ、たぶん俺が祓わんといけんもんだけん、俺の決意ってのもある。
それと、作野父さんは本来知っておかんといけん話だけん。
それと阿部は、たぶん今話とかんとしつこいけんなぁw

コトリバコ

三島三島

あの箱はな、子取り箱っていって、間引かれた子供の身体を入れた箱でな、作られたのは1860年代後半~80年代前半頃。
この部落(俺らの言葉では部落といいませんが、差別用語です)は、
このあたりでも特にひどい差別、迫害を受けた地域なんよ。
で、余りにもひどい迫害だったもんで、間引きもけっこう行われていた。
△▼(地域名)の管轄にあったんだが、特に△▼からの直接の迫害がひどかったらしい。
で、働き手が欲しいから子供は作るが、まともな給料がなく生活が苦しいから、子供を間引くと・・・
これは一応わかるよな?


三島三島

で、1860年代後半かな?
隠岐の島で反乱があったのはしっちょるか?
その反乱は1年ほどで平定されたらしいんだけど、そのときの反乱を起こした側の一人が、この部落に逃れてきた。
島帰りってやつだな・・・
反乱の理由とかは学校で少し習ったろ?
隠岐がすごい裕福な土地だったってこととかも。
まぁ、それはいいや。
で、その島帰りの人間、名前がな・・・
阿部って言うんだよ


三島三島

阿部は反乱が平定されて、こっちに連れてこられた時に、隙を見て逃げ出してきたそうだ。
話によるとだけどな。
この部落まで逃げてきたと。
部落の人らは、余計な厄介ごとを抱えると、さらに迫害を受けると思って、阿部を殺そうとしたんだって。
で、阿部が『命を助けてくれたら、お前たちに武器をやる』というようなことを言ったそうだ。
その武器って言うのがな、小箱だ。小箱の作り方。
部落の人はその武器がどのようなものかを聞き、相談した結果、条件を飲むことにしたんだ


三島三島

阿部はもう一つ条件を出してきた。
武器(小箱)の作り方を教えるが、最初に作る箱は自分に譲って欲しいということ。
それが飲めるなら教える。
どうしてもダメなら殺せと。
部落の人はそれを飲んだ。
そして阿部は、箱の作り方を教えた・・・
『作り方を聞いてからやめてもいい。そして殺してくれてもいい』とも、阿部は言ったそうだよ。
それだけ禍々しいものだけん、この小箱ってのは。阿部も思うところがあったのかもな。
ただ、『やり遂げたら自分も命を絶つが、それでもやらなければならないことがある』
そう阿部は言ってたそうだ


三島三島

それでその方法がな、最初に、複雑に木の組み合わさった木箱をつくること。
これは、ちょっとやそっとじゃ木箱を開けられないようにするための細工らしい。
これが一番難しい作業らしい。
お前らもちょっと見ただろ?
あのパズルみたいな箱。
アレを作るんだ。


三島三島

次に、その木箱の中を、雌の畜生の血で満たして、1週間待つ。
そして、血が乾ききらないうちに蓋をする。


三島三島

 次に、中身を作るんだが、これが子取り箱の由来だと思う。
想像通りだと思うが、間引いた子供の体の一部を入れるんだ。
生まれた直後の子は、臍の緒と人差し指の先。第一間接くらいまでの。そして、ハラワタから絞った血を。
7つまでの子は、人差し指の先と、その子のハラワタから絞った血を。
10までの子は、人差し指の先を。
そして蓋をする。


三島三島

閉じ込めた子供の数、歳の数で箱の名前が変わる。
一人でイッポウ、二人でニホウ、三人でサンポウ、四人でシッポウ、五人でゴホウ、六人でロッポウ、七人でチッポウ。
『それ以上は絶対にダメだ』と、阿部は念を押したそうだ。


三島三島

そして、それぞれの箱に、目印として印をつける。
イッポウは△、ニホウは■といった具合に。
ただ、自分が持っていく箱のハッカイだけは、7つまでの子を八人をくれと。
そして、ハッカイとは別に、女1人と子供を1人くれと。
『ハッカイは、最初の1個以外は決して作るな』とも言ったそうだ


三島三島

普通、そんな話まで聞いて、実行なんか出来ないよな。
そんな胡散臭い人間の話。
ましてや、そんな最悪の話。
いくら生活苦しくても、自分の子供を殺すのでさえ耐え切れない辛さなのに、さらに殺した子供の死体にそんな仕打ち・・・
でもな、ここの先祖はそれを飲んだんだ。
やったんだよ。
どういった動機、心境だったのかは全部はわからないけど、それだけものすごい迫害だったんだろうね。
子供を犠牲にしても、武器を手にしないといけないほどに、すごい・・・


三島三島

そして、最初の小箱を作ったんだと。
各家、相談に相談を重ねて、どの子を殺すかっていう最悪の相談。
そして実行されたんだ。
そして・・・ハッカイが出来上がった。


三島三島

阿部は、この箱がどれほどのもので、どういう効果なのかを説明した。
要望にあった子供と女を使ってね。
その子供と女の名前は、□■と$*(伏せますね)。
そして、犠牲になった8人の子供の名前は _______(伏せますね)。
聞いたことあるやろ?


(俺らは知ってる名前です。でもいえません。ほんとにごめんなさい)

三島三島

で、効果は阿部に言ってたようなものだ。
女と子供を取り殺す。
それも苦しみぬく形で。
何故か、徐々に内臓が千切れるんだ。
触れるどころか周囲にいるだけでね。
そして、その効果を目の当たりにした住民は、続けて箱を作ることにした。
住民が自分たちのために最初に作った箱はチッポウだった。
俺が祓った奴だな。7人の子供の・・・箱・・・
わずか2週間足らずの間に、15人の子供と、女1人が殺されたんだよ。
今の時代じゃないだろ?・・・ひどいよな・・・


三島三島

そして、出来上がった箱を、△▼の庄屋に上納したんだ。
普通に。
住民からの気持ち、誠意の印という名目で。
庄屋の家は・・・ひどい有様だったらしい。
女子供が血反吐を吐いて、苦しみぬいて死んだそうだ


三島三島

そしてな、住民は△▼のお偉方達、△▼以外の周囲地域にも伝えたそうだ。
今後一切部落に関わらないこと。
放って置いて欲しいこと。
今までの怨みを許すことは出来ないが、ほうっておいてくれれば何もしないということ。
守ってくれるのなら、△▼へ仕事に出ている部落の者も、今後△▼に行くこともしないということ。
そして、もしこのことに仕返しをすれば、この呪いを再び振りまくということ。
庄屋に送った箱は、直ちに部落に返すこと。
なぜ部落を放置するのか、その理由は広めないこと。
ただ、放置することだけを徹底すること。
そして・・・この箱はこれからも作り続けること。
既に箱は7つ存在していること。


三島三島

7つあるっていうのは、これはハッタリだったんだろうなと思う。
そう思いたい・・・
言い方は失礼なんだけど、
読み書きすら出来なかった当時の住民に、これだけのことが思いつくはずは無いと思うんだが・・・
阿部の知恵だったんだろうか。


三島三島

△▼含め、周りの地域は全てこの条件を了承したらしい。
この事件は、その一時期は周辺に噂としてでも広まったのだろうかな、すぐさま部落への干渉が一切止んだそうだ


三島三島

で、この部落の大人たちは、それでも作り続けたんだよ。
この箱をね。
すでに阿部はどこかに行ってたらしいんだが、箱の管理の仕方を残していったそうだ。
女子供を絶対に近づけないこと。
必ず箱は暗く湿った場所に安置すること。
そして箱の中身は、年を経るごとに次第に弱くなっていくということ。
もし必要なくなった、もしくは手に余るようなら、○を祭る神社に処理を頼むこと。
寺ではダメ。
必ず処分は○を祭る神社であること。


三島三島

そして住民たちは、13年に渡って箱を作り続けたそうだ。
ただ、最初の箱以外は、どうしても間引きを行わなければならない時にだけ。
間引いた子の身体を作り置いておいた箱に入れた、ということらしい。
子供たちを殺すとき、大人たちは『△▼を怨め、△▼を憎め』というようなことを言いながら殺したらしい。
殺す罪悪感から少しでも逃れたいから、△▼に反らそうとしてたんだろうな。


三島三島

 箱を作り続けて13年目、16個目の箱が出来上がっていた。
イッポウ6つ、ニホウ2つ、ゴホウ5つ、チッポウ3つ。
単純に計算しても、56人の子供・・・
作成に失敗した箱もあったという話だから、もっと多かったんだろうな


三島三島

そして、13年目に事件が起きた。
その時、全ての箱は1箇所に保管されてたんだが、監視を立ててね。そして事件が起きた。
11歳になる一人の男の子が、監視の目を盗んで箱を持ち出してしまった。
最悪なのが、それがチッポウだったってこと。
箱の強さは、イッポウ<ニホウというふうに、数が増えれば強くなる。
しかも、出来上がって間もないチッポウ。
箱の外観は分かるよな・・・
作野が楽しく遊んだっていうように、非常に子供の興味を引くであろう作りだ。
面白そうなおもちゃを手に入れた男の子は、家に持ち帰り、その日のうちに、その子を含め家中の子供と女が死んだ。


三島三島

 住民たちは初めて箱の恐怖を、この武器が油断すれば自分たちにも牙をむくということを改めて痛感した。
そして一度牙をむけば、止める間もなく望まぬ死人がでる。
確実に。
そして恐怖に恐怖した住民は、箱を処分することを決めたそうだ


三島三島

それからは大体分かるよな。
代表者5人が、俺の家に来たんだわな。そして、俺の先祖に処理を頼んだ。
しかし、箱の力が強すぎると感じた俺の先祖は、箱の薄め方を提案したんだ。
それは上代さんの言った通りの方法。
そして、決して約束の年数を経ない箱を持ち込まないこと。
神社側からは決して部落に接触しないこと。
前の管理者が死んだ後、必ず報告をすること。
箱ごとの年数は、恐らく俺の先祖が大方の目安・・・
箱の強さによって110年とか、チッポウなら140年ほど。
箱の管理から逃げ出せないよう、そのルールを作ったんだ。


三島三島

 で、班毎に分かれたあと、一人の代表者を決め、各班にその代表者が届けた。
そしてどの箱をどの班に届けたかを俺の神社に伝え、俺の祖先が控えた後・・・
その人は殺される。
これで、どの箱をどの班がどれだけの年数保管するのかは分からない。
そして、班内以外の者同士が箱の話をするのを、タブーとしたそうだ。
なぜ全体で管理することにしなかったのかは、恐らくだが、これは俺のじいちゃんが言ってたんだが、
全体で責任を背負って責任が薄まるよりも、少ない人数で負担を大きくすることで、逃げられないようにしたんじゃないかな?


三島三島

で、約束の年数を保管した後、持ち込まれた箱を処理したと。
じいちゃんの運の悪いところは、約束の年数ってのが、じいちゃんとおれのひいじいさんの代に、もろ重なってたってことだ。
箱ごとの約束の年数っていうのは、法則とかさっぱり不明で、他の箱はじいさんの代で全部処分できたんだが、チッポウだけはやたら長くて、俺の代なんだよなぁ・・・
まだ先だと思って何もやってなかったけど、真面目にせにゃ・・・


三島三島

これで全部だ。
箱に関すること。
俺が知ってること。
そして、俺が祓ったチッポウは、最初に作られたチッポウだってこと


三島三島

箱の年数は、どうやって決めたのかは分からない。
俺の先祖が、箱について何かしら知ってたのかも知れないし、
阿部という人物からそういう話があったら、そうしてくれと頼まれていたのかもしれない

以上が昨日の夜の出来事です。
現実に箱事件を目の当たりにした俺も、何がなにやらで混乱してます。

エンディング

阿部阿部

これ、ホントは掲載するのどうしようか、本気で迷いました。
明らかにタブーなことだろうと思うし、部落の人にとっては絶対外に漏れては困ることでしょうし・・・
ただ、箱は残りふたつって三島が言ってました。チッポウが2。
これは責任持って三島が処理するって言ってたのと、
俺ら4人、話を聞いても謎な部分が多すぎて、皆さんの力を借りたいって思ったから、掲載することにしたんです。
冒頭で言ってた、『お願いしたいこと』って言うのがそれなんです。
この話読んだ後、なにかこれに関する情報があったら教えていただけませんか?
詳しい地域とか明かせないし、みんなの名前も怖いから教えられないんですが、俺達の個人的な欲で知りたいんです。


阿部阿部

これは俺のルーツ知れるかなぁっていう、個人的な欲も含まれています。
父母が生きてた時、父方の先祖は隠岐から来たってのは聞いてたんですが、
詳しいところは不明なんで、俺が阿部と関わりあるのかは不明なんです。
妹どもも、もちろん知ってるわけないし、母方のばあちゃんに聞いてもわかるわけねぇし・・・
歴史に詳しい方、ハッカイとか言う言葉が出てくる郷土史、昔話など、情報でてこないですかね?


阿部阿部

箱の呼び名の由来も不明ですし。
ただ、俺の想像なんですが、
イッポウ、ニホウとかは、『一封』、『二封』~~で、
ハッカイって言うのは、『八開』なのかなとも。


阿部阿部

最後に俺らの名前は、偽名にしています。
特に俺自身の苗字を明かせません。
地域の名前とか肝心な部分を伏せてるとか、
こんな状態でお願いするのはお願いになってないし、失礼だとは思いますが
何か情報があったらぜひお願いします。

 

 

出典:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?
※読みやすくするため、原文を変更しています。
イラスト:らぬきの立ち絵保管庫http://ranuking.ko-me.com/

 

 

幽霊幽霊

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幽霊幽霊

最後に
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